加圧トレーニングについて
加圧トレーニングとは
加圧トレーニングとは、専用の加圧器具を使用して腕の付け根(上腕二頭筋の基部)や脚の付け根(大腿部の基部)に適切な圧力を掛け、適切に血流を制限した状態で行うトレーニング方法です。
加圧トレーニングの最大の特徴は
極めて軽い負荷で短時間に絶大な効果を発揮することです。
※加圧ベルト以外のもので血流を制限するのは大変危険です。必ず専用の器具を使用し、加圧トレーニング資格者の指導のもと実施する必要があります。
加圧トレーニング理論
人間の体を循環している血液は、心臓から送り出され大動脈に入って全身に送られます。そして、全身を巡った血液は、静脈に乗って心臓へと戻っていきます。
太い動脈と静脈の両方が通る腕や足の付け根部分を加圧することで、心臓より上部は一時的に血流が減少した状態になります。
すると、脳は危機を感じて血流を増やすよう心臓に指令を出します。その結果、血流量が増え毛細血管の隅々まで血液が行き渡り血管が拡張します。加圧と除圧の繰り返しにより毛細血管の数が増えることで血行がよくなるのです。
血管は加齢によって硬くなり、血液を送る力が弱くなってきます。特に、血管の最内層にある血管内皮細胞は血管の健康状態を維持するのに非常に重要な役割を果たしています。
血管内皮細胞は一酸化窒素(NO)を生成し、血管壁の収縮・弛緩(血管の硬さ・やわらかさ)をはじめとして、血管壁への炎症細胞などの調節を行っています。
加圧トレーニングを継続的に行うと、この一酸化窒素(NO)が分泌されるようになり、血管内皮細胞が若返り、増加するという臨床研究データが出ています。
筋肉は主に速筋と遅筋の2種類に分かれます。通常、速筋は重い負荷のトレーニングで鍛えられ、遅筋は軽い負荷のトレーニングを長時間続ける必要があるため、通常2つの筋肉を同時に鍛えることはできません。
加圧トレーニングを始めると、加圧しているために血流量が充分ではなく、すぐに活動を始めた遅筋の酸素が足りなくなります。これは、大きい負荷の運動を行っているのと同じ状態を人工的につくり出しているということです。
そのため、通常はなかなか活動を始めない速筋が大きい負荷を受けたと脳が錯覚して、すぐに活動を開始するよう指示を出します。加圧トレーニングでは、軽い負荷で速筋と遅筋を同時に鍛えることができるのです。
運動動作による筋肉の収縮にともない、そのエネルギーとして使われる糖質の分解により乳酸がつくられます。乳酸の発生量が増し、血液内の乳酸濃度が増加すると、脳内のホルモン分泌部位への刺激が高まり、成長ホルモンとアドレナリンやアナボリックホルモンの分泌が盛んに行われます。
加圧中は、血流制限下のため、筋血管内の乳酸濃度が急激に高まり、筋肉内の受容体を強く刺激します。この受容体からの信号が、ホルモンを分泌させる脳下垂体への作用を促して成長ホルモンなどが大量に分泌されるのです。
成長ホルモンは、身体組成の様々な働きに効果的な影響を及ぼし、アンチエイジング効果(若返り、美肌、身長が伸びる、育毛、老化防止、肥満改善、長寿効果)が期待できる最も強力なホルモンです。
加圧トレーニングの5大効果
ダイエット効果
加圧トレーニングを行うと増大する成長ホルモンによって、太りにくい体になります。また、トレーニングによって筋肉が増えると、脂肪が燃焼しやすい体になります。
血行促進
加圧と除圧を繰り返すことで、血管に弾力が蘇ります。血行がよくなり、血流量も多くなるので、新陳代謝が活発になります。冷え性や肩こりなどの不調が改善します。
回復力アップ
加圧トレーニングを行うと骨折や肉離れ、ねんざなどのケガの回復が早くなるという研究データがあります。成長ホルモンによって、筋肉や人体の修復が早まると考えられています。
筋力アップ
軽い負担で高い効果が得られるので、トレーニングを続けやすいのが特徴です。さらにケガなどもしにくいので、老若男女だれでも実践できます。
若返り・美肌効果
加圧トレーニングをすると通常の約290倍もの成長ホルモンが分泌されたという研究結果が出ています。成長ホルモンは、肌のハリやツヤを取り戻し、脂肪のつきにくい体にしてくれます。